Chapter 12 価格感度測定 (PSM)
本章では、より直接的にマーケティング意思決定に関わるマーケティング調査法について紹介する。特に、本講義では「消費者に受け入れられる価格」について洞察を得るための方法として、価格感度測定(Price Sensitivity Meter; PSM)という手法について説明する。PSMは、マーケティング戦術決定に役立つ調査・分析手法でありながら、高度な分析手法を用いない。この手法はアンケート調査による簡便なアプローチとして広く実務的に用いられている。本章では、PSM の方法と結果の解釈に加えて、PSM に関する学術的背景についても説明することで、「PSM が何を明らかにしようとしているのか」を直感的に理解できるようになることを目的とする。そのために本章では、以下の順でPSMについての説明を行う。まず次節では、PSMでどのような情報を得ることができるのかを概観するため、PSMで用いる調査方法と、Rでの分析方法を紹介する。続いて、質問の背景に存在する価格概念について説明した後、PSMの背景に存在する学術的議論について簡単に触れる。